| 作品名 | フランダースの犬 |
| 原作名 | A Dog of Flanders(1871年)(英) |
| 原作者 | Ouida (Louise de La Ramee) ウィーダ(本名:ルイズ・ド・ラ・ラメー) イギリス人(1839年〜1908年) |
| 訳書名 | フランダースの犬 |
| 舞台 | ベルギー |
| 物語の年代 | 1870年から約1年3ヶ月間 |
| 主人公 ペットほか |
ネロ・ダース(8〜9才) アロア(7〜8才) パトラッシュ(ブーヴィエ・デ・フランドル犬) |
| 放送期間 | 1975年1月〜12月 |
| 話数 | 全52話(平均視聴率 22.5%) |
| オープニング曲 | よあけのみち |
| エンディング | どこまでもあるこうね |
ベルギー・フランダース地方の都市アントワープの近くの小さな村。ネロは、牛乳運びをする祖父ジェハンを手伝いながら、貧しいながらも幸せに暮らしていました。ある日、ネロは主人に酷使され捨てられた犬、パトラッシュを介抱します。元気になったパトラッシュは、牛乳配達の仕事を手伝ったりしながら、ネロと共に暮らすようになります。ネロの夢は絵描きになることと、大聖堂に飾ってあるルーベンスの2枚の絵を見ることでした。
同じ年ごろのアロアはネロの一番の理解者です。牛乳配達の仕事から帰ると、いつも仲良く遊んでいましまた。将来絵描きを夢見るネロのために、紙を都合してきたこともありました。しかし、村一番の地主であるアロアの父コゼツは、貧乏人で、絵を描いてばかりいるネロが娘と仲良くすることを良く思っていません。いつしかコゼツや村人との溝を広げてしまいます。
そんな折、祖父ジェハンが亡くなり、数々の誤解が生じて村人からの信頼も失い、ついには仕事も失ってしまいます。最後の望みを託した絵のコンクールも落選してしまい、家賃を払えなくなったネロは失意の中パトラッシュと家を出ます。
ネロとパトラッシュはいつのまにかあの大聖堂にいました。の月光に照らされたルーベンスの絵を見ることができたネロは、満足の笑みを浮かべ目を閉じるのでした。
19世紀後半(1870年ごろ)のヨーロッパは数々の戦争に勝利した帝政ドイツ、俗に言う「第二帝国」が支配力を強めていました。一方ベルギーは、オーストリア統治時代、オランダ統治時代を経て1830年に何世紀も続いた外部からの支配からようやく独立国家として認められました。
この独立に貢献したのは少数のフランス語系のエリートでした。その影響で、この国ではフランス語系が優勢を占めることになります。本来オランダ語圏であるフランドル地方の上流階級もフランス語を話し、フランス語を解しない貧しい農村地帯の住人との格差は広がっていきます。貧しい農村では、高価な馬の代わりに番犬をパトラッシュのように労働犬として飼っていたと言われています。
ジェハン(おじいさん)が戦争の古傷を負っていますが、その戦争とは、ベルギーの首都ブリュッセの近くが戦場となった、ルナポレオン一世の頃のワーテルローの戦い(1815年6月18日)と推測できます。
ところで、ネロが憧れたルーベンス(P. P. ルーベンス (1577〜1640))は、もちろん実在の人物です。説明の必要も無いかと思いますが、宗教画、風景画、肖像画などあらゆる分野に才能を発揮したバロック絵画最大の巨匠として知られています。
テレビで『フランダースの犬』が放送されてから数年度、バブル絶頂期の日本人は海外旅行が盛んになりました。もちろん、ベルギーのアントワープにも、ネロの故郷を見ようと多くの日本人観光客が訪れたそうです。
しかし、一方のベルギーでは、小説の中でこの地方が貧しく、悲惨に描かれていたため、作品を知っている人は少なく、ルーベンスの2枚の絵もノートルダム大聖堂には飾ってなかったそうです。
思いもかけない訪問に驚いたベルギーの観光局は、急いでルーベンスの2枚の絵を物語の通りに大聖堂に飾り、ネロとパトラッシュの銅像も建ててしまったそうです。恐るべし、日本人観光客パワー。
ベルギーはオランダ語圏とフランス語圏、ドイツ語圏に分かれています。ちなみに、フランダース地方のアントワープは、オランダ語圏になります。アントワープは北緯が約50度強。樺太の真ん中ぐらいの緯度にあります。面積は九州より一回り小さいくらいです。
現在のアントワープは、港湾、工業を中心に発展し、人口50万人を有する大都市になっています。なお、物語の舞台だった、農村だったは現在は都市の一部になっています。
「アニメ大集合」的な番組では必ず出てくる最終回。感動的に描かれてはいますが、個人的には暗くて悲しい作品を象徴しているようであまり好きではありません。大人の世界の厳しい現実を突き付けられながらも、それを正面からは理解できず、無邪気なネロとアロア。物語のところどころに出てくる「大人の世界とこどもの世界のギャップ」を大人の視点から観てみてはいかがでしょうか? 名作劇場初期の作品にして最高の平均視聴率を誇った、日本のアニメ史に残る名作。最終回以外にも見どころはたくさんあるに違いありません。
それにしても、ネロは貧乏人のくせにスレてないというか、かなりの世間知らずですね。ジョルジュとポールの兄弟と比べれば、その逞しさには天と地ほどの差があります。これではのたれ死んでも仕方ない??
ちなみに、有名な最終回とは反対に以外と知られていない第一話。ネロがアロアに「いちごあめ買ってきて」とパシられるシーンはネロのその後の不幸な物語の始まりを表しているように思えます。
原作者であるイギリスの女流作家ウィーダはフランス人の父と、イギリス人の母のもと、1839年イギリスの小さな町に生まれています。本名はルイ・ズ・ド・ラ・ラメーといい、「ウィーダ」はペンネームだそうです。大の動物好きとしてもしられるウィーダは何匹もの犬を飼いながら、多くの動物小説を書いていたそうです。晩年はわずかな年金を犬や猫たちのエサ代に費やし、自分は質素な生活していたと言われています。代表作として知られているのは、「フランダースの犬」と、「ニュルンベルグのストーブ」くらいでしょうか。