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概要

作品名 牧場の少女カトリ
原作名 Paimen, piika ja emanta(1936年)(芬)
原作者 Auni Nuolivaara(アウニ・ヌオリワーラ)
フィランド(1883年〜1972年)
訳書名 牧場の少女
舞台 フィンランド
物語の年代 1915年頃から約6年間
主人公
ペットほか
カトリ・ウコンネミ(6〜12才)
アベル(ダックスフント)
アッキ(カトリに本などを勧める大学生)
マルティ(友達の男の子)
放送期間 1984年1月〜12月
話数 全49話(平均視聴率 11.9%)
オープニング曲 Love with You 〜愛のプレゼント〜
エンディング曲 風の子守歌

あらすじ

 フィンランドの農村に住むカトリは、祖父母と供に出稼ぎドイツへ向かったまま戻らない母・サラの帰りを待ち続けていましたが、祖父母の家計は日増しに悪化し、生活は大変苦しいものでした。
 そこで、カトリは、家計を助けるため自ら働きに出ることになり、ライッコラ屋敷で家畜の世話を始めました。仕事の中で出会ったアッキから本を勧められ、読書を通じて勉強をするようになったカトリ。しかし、牛が熊に襲われる事件などがあり、また別の仕事に就くことになります。
 カトリの新しい仕事は、クウセラ屋敷での奥様(ロッタ)と息子クラウスの身の回りの世話でした。持ち前の明るく前向きな性格は、やがてロッタをはじめ、屋敷の人びとに認められるようになり、主人・カルロの死後、ロッタが故郷トゥルクに帰る際には、カトリも一緒に連れて行くことになりました。
 トゥルクでの生活が始まり、カトリはロッタの計らいで学校に通うことになります。編入試験を大変優秀な成績で合格し、新たな生活が始まろうとしていた時、母サラがこの街の病院に入院しているという連絡が入ります。離れ離れだった母と子は6年ぶりの再会を果たすのでした。

作品の時代背景

 母が出稼ぎに出ている時に戦争が起こったと記述されていますが、これは恐らく第一次大戦だと思います。また、話の後半では、アッキが独立運動に参加しているシーンなどもあり、これは「1915年8月のある日曜日」とハッキリとした表現が出ています。
 20世紀の世界は、いわゆる西側諸国vs東側諸国の戦いでしたが、北欧はその戦いに巻き込まれる形で戦争へ突入します。そんな時代背景で書かれた本作は、少女カトリの物語の他にも、第一次大戦を北欧の国の視点から捉えて描写している点で、大変興味深い作品だと思います。

個人的な感想

 名劇が完全に女の子の観る番組としての地位を得た頃の作品だったため、本放送の記憶はほとんどありません。唯一記憶に残っているのは、オープニングの糸車が回る絵やカトリがパンを焼いている絵などです。再放送もほとんどなかったのではないでしょうか。男の子的には「カトリ」と聞くと、名劇のカトリではなく、ジャイアンツの鹿取投手を先に連想したのではと思います。
 苦労して探して観た本作ですが、母が出稼ぎに行ってしまうという第1話を観ると、マルコを思い出してしまいます。最終的に母と再会するまで、カトリはマルコと違って「おりこうさん」にして待ち続けるわけですが、その間、本人にはあまり大きな不幸は訪れず、男の子がたくさん出てくる割には恋愛ゴトも無く、概ね楽しく平穏な日々を送ります。社会的には大きな事件が起こっていきますが、カトリ本人には大きなダメージが無いため、物語全体として盛り上がりに欠けるのが残念です。
 結局、物語が持っているメッセージとしては、どんな環境でも勤勉働き、勉強を続ければ報われる時が来るということなのでしょうが、アニメ作品に仕上げるにはネタが足りなかったようです。

ココに注目

 原作がもともと日本では知られていない作品であった上、物語もマジメ過ぎて、大きな事件も起こらないことから、本放送の視聴率では大苦戦した作品でした。しかし、名劇のヒロインナンバー1の美少女と言われる後の評価や、サウナシーンなどで一気に人気がブレイクし、DVDや竹書房のCD付き文庫の売り上げは好調だったそうです。そんな美少女・カトリに好意を寄せている(と思われる)男の子が物語中に何人も出てきますが、いずれもカトリは興味ナシと言わんばかりに、サラリとかわしています。
 物語は、働きながらも毎日本を読み続けて学力を付けた優等生・カトリが成功を修めていくお話ですが、日本でも二宮金次郎とか似たような話はたくさんありますよね。やっぱり人間勉強が必要なんだと考えさせられます。
 時代背景のところでも書きましたが、フィンランドの立場で第一次大戦の混乱を描いている点が、この作品の特徴の一つでもあります。子供の視点では理解が難しい部分ですが、是非、大人の視点で観てみてください。
 母が出稼ぎから帰らないという設定は、マルコと全く同じものですが、母を追ったマルコに対して気丈に待ち続けたカトリの姿を対比させてみても面白いかもしれません。
 余談ですが、近年、マニアなカトリファンが千葉の香取神宮に殺到したとか、カトリックの洗礼を受けたとかという根拠のないウワサもあるようです。

原作紹介

 この作品は、作者がフィンランド人で、原語もフィンランド語であることから、入手は限りなく不可能に近いと思います。以前、Amazon.de(ドイツのアマゾン)で見掛けましたが、さすがにフィンランド語を読んでいく術は持ち合わせていないので、コレクション目的以外での価値は無いかもしれません。
 訳本として私が確認したものでは、ドイツ語版と英語版を見つけています。いずれも絶版本で、中古で入手するしかありませんが、そのうちドイツ語版を入手しました。ハードカバーですが、表題なども剥げており、ある程度読み進むまではカトリかどうか半信半疑でした。
 古い出版であるため、文字も小さく読みにくいですが、仮にも児童文学なので、表現はやさしいものとなっています。原語からドイツ語に翻訳の際にどれほど表現が落ちているかはわかりませんが、雰囲気は出ているのではないでしょうか。
 本作は、作者の祖母の少女時代をモチーフに書かれているそうで、戦争の話など、かなり現実に近い描写がされていると思われます。ちなみに、アニメ作品後半のクウセラ屋敷から先のストーリーは、原作には無い創作ですが、原作と読み比べると、それほど本作の雰囲気を壊さずに追加できていると思います。

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