| 作品名 | トラップ一家物語 |
| 原作名 | The Story of the Trapp Family Singers(1949年)(英) |
| 原作者 | Maria Augusta Trapp(マリア・オーガスタ・トラップ) オーストリア人(1905年〜1987年) |
| 訳書名 | サウンド・オブ・ミュージック トラップファミリー合唱団 ほか |
| 舞台 | オーストリア(ナチス政権下) |
| 物語の年代 | 1936年から約2年間 |
| 主人公 ペットほか |
マリア・クッチャラ(マリア・オーガスタ・トラップ)(18〜20才?) トラップ男爵 小さなマリア |
| 放送期間 | 1991年1月〜12月 |
| 話数 | 全40話(平均視聴率 14.8%) |
| オープニング曲 | ドレミの歌 ほほえみの魔法 |
| エンディング曲 | 両手を広げて |
幼い頃に両親を亡くし苦労を重ねてきたマリアは、師範学校卒業後、修道女を目指し、単身ザルツブルクへやってきます。そして、自ら進んで一番厳しい修道院と言われる「ノンベルク修道院」の門を叩くのでした。
修道女見習いとして迎え入れられるマリアでありましたが、楽天的でしきたりや規律等に無頓着なマリアは、数々の事件を起こし、次第に修道院では問題のある存在としてみなされていくようになってしまいます。
そんなある日、妻を亡くし7人の子供を育てるトラップ男爵一家に、子どもたちの家庭教師として派遣されることになりました。明るく快活なマリアは、心を閉ざす子供たちや厳格なトラップ男爵とぶつかりますが、明るく裏表の無いマリアに次第に心を開いていきます。
正面から向かい合うマリアを子供たちは心から慕い、やがてトラップ男爵もマリアに惹かれていきます。とうとう婚約者と別れ、子どもたちの母として、そして妻としてマリアに結婚を申し込む。幸せの絶頂を迎えた一家でしたが、時代は戦争の危機に向い、銀行の破産やナチス侵攻などの様々な危機が襲いかかるのでした。
名劇で取り上げられた作品の中で、最も時代背景がハッキリしている作品です。それもそのはず、物語はマリアの自叙伝に基づいているからです。
アニメ作品中では、ナチスドイツとの確執くらいしか、歴史背景を感じさせるエピソードは出て来ませんが、歴史背景に関する描写はしっかりしている作品だと思います。
トラップ一家合唱団については、説明の必要もないと思いますが、ラスカルと同じく実話がベースになっています。よくサウンドオブミュージックをベースにアニメを作ったと勘違いされていますが、ミュージカルとアニメの両方のベースとなった、マリア本人の著書が本当の「原作」です。
私は、クラシック音楽をやっている関係上、「サウンドオブミュージック」には比較的小さい頃に出会っています。そのため、話の大筋は知っていたので、「良く知っている作品」として期待しながら観ていました。
肝心の第1話は、「あしながおじさん」に匹敵するハチャメチャで爽快な作りで、私は一気にハートを掴まれました。そして素敵なエンディング曲。生で本放送を見た名劇作品では、だぶん唯一、一度も逃さず観た作品です。
話の前半は、「小さなマリア」を中心にしたストーリーが展開しますが、後半は一気にドラマチックな展開になります。映画では直接描かれなかった、子供の視点でのエピソードが多く、感情移入しやすかったのも良かったと思います。映画とどうせ同じだと思っている人にもオススメです。
リアルタイムで映画を観た世代の子供くらいの年齢層がターゲットであるものの、社会的な受け止められ方としては、どうしても「サウンドオブミュージック」の印象がチラつく逆境に切り込んでいったこの作品は、名劇の作品群の中でも名作の部類に入るでしょう。
第1話でマリアが修道院で大暴れするシーンは、映画ではあまり詳しく描かれていませんでしたが、テンポ良くハチャメチャ感が表現されており、
また、主人公マリアは、放送開始時に18歳(名劇最年長ヒロイン?)と、ターゲットになる視聴者が感情移入できるギリギリの設定でしたが、子供たちのエピソードを前半にうまく使い、視聴者のハートを掴んだと思います。
また、この作品の挿入歌は、(おそらくミュージカルを意識したと思われるが)大変秀逸で、特にエンディングの「両手を広げて」は、名劇全作品の中でも最も素晴らしい曲だと私は思います。
原作は、マリア自身の自叙伝であり、いわばノンフィクションものになります。同じ自叙伝をモチーフにしたミュージカル映画・サウンドオブミュージックがあまりにも有名ですが、この自叙伝は映画とアニメ両方の原作に当たります。物語自体は、アニメ作品や映画の舞台である、亡命までを描いた「パート1」と、亡命後、アメリカの農村から再起し、ファミリー合唱団として世界中に知られるようになるまでのエピソードを集めた「パート2」の2本立てとなっています。
実話との主な相違点としては、マリアの年齢(実話ではトラップ家に派遣された時21歳)や、子供の年齢順(長女がヘートではなくアガーテである点など)が挙げられますが、話の進行上、特に違和感のあるものではありません。
マリアによる自叙伝は、亡命後のアメリカで書かれたため、英語で書かれています。他の名劇作品と異なり、児童文学ではなく大人向けの図書であるため、ページあたりの文字数は児童文学に比べて格段に多く、洋書ビギナーには少し大変かもしれません。しかし、ハリーポッター全巻を読むくらいの経験と根性があれば、難しいお話ではないので、読めないことはありません。
様々な出版社から出版されていますので、入手には困りませんが、どれを選んで良いか迷う可能性はあります。できれば、書店で手に取って選んだ方が良いでしょう。
平成18年頃だったと思いますが、NHKで「小さなマリア」が生出演する番組をやっていました。自叙伝とは言え、物語の主人公の一人の生出演に感激しました。番組は、主に亡命後の生活を振り返っていくという構成でしたが、マリア先生の自叙伝後半部分を違う視点で紐解いていったところが大変新選でした。