| 作品名 | 小公女セーラ |
| 原作名 | A Little Princess(1887年)(英) |
| 原作者 | Frances Hodgson Burnett(フランシス・ホジソン・バーネット) 英国(1849年〜1924年) |
| 訳書名 | 小公女 |
| 舞台 | イギリス・ロンドン |
| 物語の年代 | 1885年から約1年間 |
| 主人公 ペットほか |
セーラ・クルー(10〜11才) ベッキー ラビニア・ハーバート エミリー(人形) ジャンプ(ポニー) |
| 放送期間 | 1985年1月〜12月 |
| 話数 | 全46話(平均視聴率 16.3%) |
| オープニング曲 | 花のささやき |
| エンディング曲 | ひまわり |
インドからロンドンの全寮制女学院・ミンチン学院に転入してきたセーラは、ダイヤモンドの発掘事業を手がける父を持つ大変裕福な少女でした。
セーラ専用の特別室に専用の馬車と破格の待遇は、学院関係者を大いに驚かせ、一部妬む生徒もいましたが、誰にでも真っ直ぐに向き合うセーラは次第に受け入れられていきます。しかし、父の突然の死により身寄りをなくしてしまうとセーラの生活は一変し、メイドとして屋根裏部屋で生活に追いやられてしまいます。
過酷な労働といじめに耐える日々が続きますが、セーラを慕うメイド・ベッキーや親友のアーメンガード、ピーターらに支えられながら、誇りを失わず健気に暮らしていきます。やがて、死んだ父の親友であるクリスフォード氏が学院の隣に引っ越して来たことで、セーラの運命が再び動き始めます。
クリスフォード氏がインドにゆかりがあることを知ったセーラ、そして親友の娘(=セーラ)を探し続けるクリスフォード氏は、やがてお互いを知ることになり、セーラは再びダイヤモンドプリンセスとして復活することになるのでした。
名劇の作品の中では、最も時代設定がハッキリわかる作品です。第1話で年と出てきます。工業化の進むロンドンの薄暗いシーンなど、良く描かれています。当時のインドは完全にイギリス植民地下にあったので、大英帝国の一部です。名劇の主人公の国籍をまとめる際、大英帝国をひとくくりにすると、ケニアやオーストラリアも入ってきますので、ジャッキーやルーシーもイギリス出身になります。
激しいイジメシーンなど強烈なインパクトを持つこの作品は、名作劇場の他の作品を知らない人でも覚えている名劇史上最も衝撃的な作品でしょう。オープニング&エンディング曲も作品の雰囲気を見事に表していて、記憶に残る作品であることは間違いありません。 セーラは男の子から見るとよい子ちゃん過ぎてしまい、いじめたくなる気持ちはわからないではありません。前半のセーラはなかなかナマイキな子ですよね。メイドになっても、テキパキと仕事をこなすセーラ。ベッキーと比べて、人間としても人材としても完成度が高い人物だなと思います。 作品の知名度の割には、視聴率が16.3%と名作劇場の中では中位くらいのランクです。分析するに、あまりにも激しいイジメシーンに見かねてチャンネルを回してしまった人が多かったのではないかと思います。 アニメの方が原作に比べてイジメシーンが多く、その手法も残忍です。一方で原作では、概ねアニメと同じ展開ですが、最後にダイアモンドプリンセスとして復活したセーラがミンチン学院には一切寄付しない点で異なり、ミンチン学院とは未練も名残もなく、なかなかドライにおさらばします。
過激なイジメシーンのおかげで、名劇をほとんど観ていない人でさえも知っている衝撃的な作品であることは言うまでもありませんが、カトリで視聴率を大幅に落としてしまった名劇が、再浮上のきっかけとなった作品でもありました。
物語後半のセーラとクリスフォード氏のすれ違いは、ペリーヌの後半に大変よく似ている気がします。物語の中に自分が入れたら、そっと教えてあげたい。そんな気にさせるクライマックスです。ただ、ペリーヌが自分の力で運命を切り開いていったのに対して、健気に耐え凌いだセーラと、その振る舞いには大きな違いがあります。
アニメだけ観ていると、超特別待遇だったセーラへの妬みが爆発して陰険なイジメに繋がっているように見えますが、その辺の感情は人として理解できる気もします。ただ、次第にエスカレートしていくイジメには、さすがに目を覆いたくなりますが。
ちょっと厳しい視点かもしれませんが、元来ダイヤモンドプリンセスだったセーラと元来メイドであるベッキーの間には、ミンチン学園で同じメイドだとしても身分の一線を超えられない何かがあるように思えます。というのは、セーラが求めていた幸せは、メイドでの幸せではなく、やはりダイヤモンドプリンセスとしての誇りに満ちた幸せです。一方で、ベッキーは高貴な少女達を間近で見て、憧れはするものの、幸せを高貴な立場になることに求めてはいません。現に、アニメ最終話でセーラはベッキーをメイドとして召し抱えることにしており、ベッキー自身の身分に大きな変化があったわけではありませんが、それでもベッキーは十分幸せそうな顔をしています。もちろん、ミンチン学院での待遇に比べれば、セーラの下では天国のような待遇であったと想像できますが、セーラがメイドになっても逆にベッキーがダイヤモンドプリンセスになる運命には無いと感じされられます。
本作は紹介するまでもなく、大変有名な作品で、日本語訳版であればどの書店でも手に入るでしょう。また、原語の英語版についても、洋書を扱っている書店であればほぼ間違いなく取り扱っていると思います。
原作では、話の大筋はアニメと同じですが、登場人物ではピーターが出てこないなどの違いがあります。また、ミンチン学院の設定で、アニメでは年少組・年長組というのがありますが、原作では学年の設定がありません。ミンチン学院は、現在のような公的な教育制度に則ったものではなく、富豪層が教養を身に付けるために学ぶ学校であるため、何年いれば卒業というわけではなく、預けた側の都合で入退学するみたいです。
それから、アニメの中でセーラがミンチン学院を追われてマッチ売りの少女となるシーンがありますが、これは原作にはありません。セーラの描写としては、アニメでも時々ミンチンに口答えするシーンが出てきますが、原作にはアニメのような「耐える役」的な表現は少なく、空気を読まずに反論するシーンが何度か出てきます。また、アニメの最終話ではミンチン学院に多額の寄付を申し出、ラビニアとも和解しますが、原作では何も言わず、ミンチンに弁明の隙も与えずあっさり学院を去っていきます。アニメのラストでは、学院のみんなとのお別れのシーンが描かれていますが、ケンカ別れの原作にはもちろんありません。原作の最後のシーンは「パン屋のアン」のシーンとなっています。
児童文学なので、文字も大きく、版によっては挿絵があるものもあります。初めて英語の小説を読む人でも、無理なく読めると思います。ハリー・ポッターを読めれば全く心配無いでしょう。